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「2017年世界最終戦争の正体―いま世界で本当に起こっていること」を読んで考える

書籍名 : 2017年世界最終戦争の正体―いま世界で本当に起こっていること
著作者 : 馬渕 睦夫
出版社 : 宝島社
発売日 : 2016/11
ISBN : 9784800248473

ウクライナ、日本に差し迫った危機だと思う (2022/11/22)

この本「2017年世界最終戦争の正体―いま世界で本当に起こっていること」は、随分と前に読んだ本だ。2022年に文庫化して再出版されたようだが、私が読んだのは2017年の本だ。

なぜ、今改めて、文字にして考えてみようと思ったのか。メディアでは連日、突然ウクライナに攻め込んだロシアが、士気も低く苦戦をしているといった薄っぺらな報道がなされている。それだけではないことは知っている。でも、その背景をもう一度、確認してみたくなり、頁をめくっている。

米国ジェイムス・ベーカー国務長官の言葉として「冷戦の真の勝者は日本だ」と、この本の中でも引用されているが、1989年の冷戦崩壊から、権益を求めて世界は大きく動いているわけである。私は日本の「失われた30年」もその流れのなかで必然的に起こったことではないかと思っている。

1991年のウクライナ独立。その後のオレンジ革命、度重なるウクライナ危機。そして東欧カラー革命、アラブの春、ジョージ・ソロスや、オープン・ソサエティ財団の関与など、今回のウクライナ危機の背景となるできごとは余りに多いのである。

米国石油メジャーと関係を深めようとしたロシアの石油会社ユコス、ホドルコフスキー社長の逮捕は、メディアでもショッキングに報道された。ヒラリー・クリントンのベンガジ事件への関与なども馬渕氏は一連の流れとして、この本で解説をしてくれている。馬渕氏の解説で、最も印象的な一文を引用させてもらおうと思う。

以上見てきましたように、最大の当事者であるポロシェンコ大統領とプーチン大統領がウクライナ危機の解決に合意したにもかかわらず、この合意を快く思わない人たちがいたのです。言うまでもなく、陰でウクライナ危機を演出したネオコンを中心とする国際反プーチン勢力でした。その筆頭の一人がアメリカの最大の国際投資家の一人として有名なジョージ・ソロス氏です。彼はソ連の崩壊以来、旧ソ連諸国や東欧の旧衛星国の市場経済化に多大の関心を持っていました。自ら「オープン・ソサエティ」財団を作り、これら諸国の市場経済化のための人材の育成を支援してきました。この財団は文字通り「かつて外部世界に閉じられていた市場を欧米の投資家のために開放させる」ことを目的としたものです。

馬渕氏の話は、外交官として最前線で活躍された経験をもとに公開情報から多くの結論を得ているという。公開情報で、そこまで何もかもわかってしまうものなのかとも思う。それでも、馬渕氏の解説は、様々なことが腑に落ちる。この本を執筆している2016年時点でこれだけの事実を積み上げていたことは、驚異以外の何物でもないのではないか。TVの薄っぺらさとは全く、次元が違う。ただ2016年の段階では米国の注意が、ロシアよりも中国へより多く向けられると馬渕氏は書いていたように思う。

メディアが煽るように、ウクライナの庶民が可哀そうであるのは間違いない。でも、それは明日の日本の庶民の姿というよりも、もっと差し迫った問題のように思う。馬渕氏はこの本の中で、「民主化」から「民営化」「グローバル化」という流れを伝える。まさに日本が今、直面していることではないのか。

誤解を恐れずに言えば、外国の侵略に対し抵抗しない日本人を養成するのが、日教組の平和教育といっても決して言い過ぎではないでしょう。

このように馬渕氏は説く。私たちももう少し考えなければならないのだと思う。

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