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「新聞は偉そうに嘘をつく」を読んで考える

書籍名 : 新聞は偉そうに嘘をつく 変見自在セレクション
著作者 : 高山 正之
出版社 : 新潮社
発売日 : 2022/12
ISBN : 9784103058892

いま新聞を考える (2023/01/22)

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Photo:PDPics/Pixabay

コロナ禍といわれ3年が経つ。2022年には元首相が暗殺をされた。マスメディアの役割について考えさせられることが多い。第二次世界大戦で戦意を煽り、日本を地獄へと導いた朝日新聞はまた同じ道を歩もうとしていないだろうか。そこで、この本「新聞は偉そうに嘘をつく 変見自在セレクション/著:高山 正之」を読み考えた。この本は元産経新聞記者で、中東・アジアでの豊富な経験を始め、多様な見識を併せ持つ著者が「週刊新潮」で書いたコラム「変見自在」を再編集した本である。やや古い記事もあるが、面白い。深い内容に感動さえ覚える。「そういうことだったのか」と何度も、改めて考えさせられた。「はじめに」で書かれた文章が秀逸である。

ここの記者は例えば朝日の秋岡家栄のようにひたすら権力者に媚び、権力者の嫌がることは何も書かない。そのくせ朝日の主筆だった船橋洋一は「新聞記者は権力を持つものを監視し、徹底的に戦う」とか偉そうに言う。それで今、何をしているか。例えば凶弾に倒れて逝った元首相が反論もできないのをいいことに「統一教会とずぶずぶ」とか下衆の勘繰りだけで中傷する。記者の名を騙(かた)る卑劣漢でしかない。

ずっと、モヤモヤとしていたものを文字にしてもらった気がする。ただ、私たち庶民の役割についても考えるべきであろう。私たちに、何ができるのかを考える。高山氏には分かってもらえないだろうが、庶民はそんなにいいものではない。なぜ権力者を監視すると言って提灯記事ばかりを書くやつらを有難がるのか。有難がっているのはまさに庶民なのだ。豊洲市場で都民を混乱に陥れた小池百合子が大好きなのも、貧困への道を突き進んだ小泉純一郎が大好きなのも、庶民なのだ。ワクチンに群がるのも庶民だ。私が何かできることがあるのではないだろうかと思う。いわゆる民主主義がそんなにいいものだとは私には思えないが、庶民の時代になった。間接的にコントロールされる時代になった。直接的に支配するのではなく間接的にメディアやマネーを使ってコントロールする時代になったのだと思う。

題名に「朝日新聞は」とはないが、そうしてもよかったのではないのかとさえ思うくらいに朝日新聞への批判記事が多い。庶民の中でも、特に高齢のかたでも、近年は朝日新聞への疑問を口にする場面に立ち会うことも多い。厳選されたコラムは、批判的な内容ばかりでなく、アフガニスタンや、東大教授・科警研所長、ボンバルディア機、戦後間もない時期のスパイ機パイロットなど、多岐にわたる興味深い内容ばかりだが、考えさせられるといったコラムも多い。狭き門を潜り抜け本社の記者になり、専門性の高い記者クラブに所属したときのエピソードが書いてある。

 こちらは飛行機のクラブに出た。すぐロッキード社から新型機披露の招待があって、ロサンゼルスに飛んだ。ロ社での会見に出て驚いた。各社記者は通訳なしで新型機についてロ社側に相当、突っ込んだ質問をしていた。そういう手練(てだ)れになって初めて航空機事故を取材でき、解説を書ける。記者クラブは遊んで勤まる場ではなかった。航空機がなぜ飛ぶのかに始まって管制まで勉強しなければ会見に出ても意味も分からなかった。

また、こんな文章もある。

平成の御代、その記者クラブが閉鎖的だ、開放しろという声が出た。声の出所は嘘しか書かない反日の外国人記者会。それにフリーの記者も乗って騒いだ。彼らはクラブに入って一線の記者と切磋琢磨する気はなく、ただ記者クラブ主催の形をとる記者会見に出るのが目的だった。

専門家がアップしているネットの動画などでも記者クラブの害を説くものが多いし、私もそう信じていた。「族議員」などにも云えることなのかもしれないが、良い側面と悪い側面が必ずあるモノなのだろう。それにしても私には、近頃、最も酷い臭気を放っているのは、フリーの記者とか外国人記者ではなく、既存のマスメディアに思える。なぜこんなことになってしまったのか。すでに新聞社を退職された高山氏の著作を読んでいると昔は良かったのかとも思う。でも今起こっていることは大抵数十年前には仕込まれていたりするものだ。

この本「新聞は偉そうに嘘をつく」では本当に多くのコトを考えさせられるが、やはり私たち庶民はもう少し自分で考えなければならないと思う。マスメディアではワクチンの害については、ほぼ完全に報道されない。この文章をかいている2023年1月、週刊誌などで少しずつ取り上げられ始めているが、TVでは今も、第8波などの話題ばかりをやっている。普通、ワクチンの治験に参加すれば高額な報酬が貰える。なぜ通常の治験を通っていないワクチンをタダで打ってしまうのか。勿論、高齢者と同居している場合など、簡単には決められないことも多いだろう。それでもTVの言い成りの庶民ばかりであることは本当に残念である。

この本では高山氏が駐日オランダ全権大使から抗議を受ける場面から始まる。庶民が高山氏のような強さを持つことは不可能であるとは思うが、もう少し「お人好し」を克服できないものかと思う。それでいて被害にあえば大騒ぎをするわけである。「お人好し」ではなく「無知」なだけなのかもしれない。2023年は危機への入り口であると予測する専門家も多い。今度は少しマシにできないかと思うのだ。

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