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流通業界の変遷について思う

11月11日に、西武百貨店が、投資ファンドと組んだヨドバシカメラに買収されるニュースが流れた。

かつて、まだ日本が元気だったころ、ダイエー、イトーヨーカドーとともに日本の流通業界をリードしてきたセゾングループ。その中核であり、日本の消費文化をリードしてきた西武百貨店が、家電量販店に買収されるというのは複雑な気分である。かつてほど西武百貨店の影響力もないのか、すでにセブン&アイホールディングスの傘下にあったということもあるのだろう、余り大きなニュースにはなっていないようだが、流通業界に限らず、まだ日本が元気だった1980年代に日本をリードしてきた多くの企業が解体されていくのは寂しい限りだ。

西武百貨店は、2006年からセブン&アイ傘下であったわけだが、イトーヨーカドーから派生したこの巨大総合流通グループとのシナジーも生まれなかったようだ。

池袋の西武百貨店と、家電量販店

池袋の西武百貨店と、家電量販店。撮影:蒲生朗

西武百貨店といえば、旗艦店は池袋店であるのだが、ここでは既にビッグカメラと、2009年に撤退した三越百貨店跡地に出店したヤマダ電機が激しい戦いを繰り広げている。今回、ヨドバシカメラが出店するとなると、さらに激しい戦いが予想される。かつて、西が東武で、東が西武などとCMを流してきたビックカメラ。まさか、東がライバルのヨドバシになるとは考えてもみなかっただろう。

カメラ販売を発祥とする家電量販店と、ヤマダ電機などの郊外型家電量販店では、そもそもビジネスモデルが違うように思う。カメラ販売を原点とする家電量販店は品数が豊富であり、こだわりのある都心のビジネスマンのニーズに応えてきた。一方、郊外型家電量販店は品数を絞り込みその分価格を下げて集客をしていたように思う。今回、同じカメラ販売を原点とするヨドバシカメラの参戦は、さらに熾烈なものとなるであろう。しかし、残念ながら、戦いの中心は裕福な移民への販売とかということになるのではないかと、個人的には、憂慮する。

1980年代には、誰が西武セゾングループの衰退を予想しただろうか。それでも、少し長い目で見れば、隆盛を極めた企業の衰退は珍しいことではない。ただ他にも、残念ながら、少し長い目で見ると、戦争があることの方が、世界的には自然なように見える。

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